病気について

鼻がつまる

鼻の中の空気の通り道が何らかの原因によって閉塞してしまい、呼吸がしづらくなる状態です。代表的な疾患としては、(1)鼻中隔弯曲症 (2)アレルギー性鼻炎 (3)鼻茸 (4)鼻腔腫瘍 が挙げられます。

(1)鼻中隔弯曲症

鼻中隔は左右の鼻腔を分ける壁です。この鼻中隔がゆがんで左右のどちらかに突出すると、凸側は鼻腔が狭くなり、鼻内での空気の流れが影響を受け、鼻づまりが生じます。

(2)アレルギー性鼻炎

抗原と抗体が鼻の粘膜で反応し、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりを起こすのがアレルギー性鼻炎です。アレルギー反応で起こる病気には、他に気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などがあります。これらアレルギー性の病気はしばしば同時に起こります。花粉症もこの病気の仲間です。

(3)鼻茸

副鼻腔粘膜から生じる炎症性増殖性の腫瘤です。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)が合併していることがほとんどです。

(4)鼻腔腫瘍

腫瘍はいわゆる“できもの”のことです。良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。
悪性腫瘍の場合、治療が必要であるのは言うまでもありませんが、良性腫瘍でも乳頭腫と呼ばれる腫瘍があり、この腫瘍は悪性化することがありますので早期の治療が望まれます。

治療について

(1)鼻中隔弯曲症、(3)鼻茸、(4)鼻腔腫瘍が原因である場合は手術加療が必要です。手術により鼻腔形態を矯正し、鼻呼吸のしやすい状態にします。

(2)アレルギー性鼻炎が原因である場合は抗アレルギー薬の内服・点鼻薬にてほとんど改善しますが、治療に反応しない場合は鼻粘膜焼灼術(炭酸ガスレーザー等)による処置または鼻腔形態矯正の為の手術が必要となります。

鼻水が出る

鼻水には水様性鼻汁(透明でさらさら)・黄色鼻汁(色がついてネバネバ)が大別されます。
風邪の一症状であることが殆どですが、長引く場合は(1)アレルギー性鼻炎 (2)慢性副鼻腔炎(蓄膿症)が代表的疾患として挙げられます。

治療について

(1)アレルギー性鼻炎は、抗アレルギー剤の内服・点鼻薬が治療の主力です。
内服薬に反応しない場合は、レーザー等により鼻の粘膜を直接焼灼するような治療があります。

(2)慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は、重症度にもよりますが第一選択となる治療は14員環系マクロライド抗生物質の少量長期療法です。
約3ヵ月間この治療を継続し改善のない場合は手術加療が必要です。

においがしない(嗅覚障害)

嗅覚障害には(1)呼吸性嗅覚障害 (2)末梢性嗅覚障害 (3)中枢性嗅覚障害 があります。

(1)呼吸性嗅覚障害

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎に伴う粘膜のはれやポリープなどの存在により、におい分子が嗅上皮という臭いのセンサーまで到達できないことによって嗅覚が低下する状態です。

治療

臭いのセンサーまでの通り道がふさがっている状態ですので、抗アレルギー剤・抗生剤等の内服治療及びステロイド点鼻薬を使って鼻の粘膜の腫れを引かせる治療があります。
それでも改善のない場合は鼻腔形態改善のための手術が必要となります。

(2)末梢性嗅覚障害

嗅上皮の障害と嗅糸(脳と臭いのセンサーをつなぐ神経線維)断裂による場合があり、前者は嗅上皮の萎縮や炎症が原因で風邪などウイルス性のことが多く、後者は頭部外傷が最も多い原因です。

治療

ステロイド点鼻薬および経口投与が有用な治療法です。
しかし、ステロイドの経口投与は長期連用により副作用が生じる場合があり注意が必要です。

(3)中枢性嗅覚障害

脳腫瘍、加齢が要因になります。
嗅覚障害が、アルツハイマー病やパーキンソン病の初期症状である場合もあります。

治療

中枢性嗅覚障害は、原因疾患の治療が優先となります。

耳がかゆい

代表的な病気として外耳道炎・外耳道湿疹が挙げられます。
痒みを抑える作用のある軟膏処置・点耳薬が一般的です。
難治性の場合は真菌(カビ)やMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が原因の場合があり、耳洗浄を連日施行したり、抗真菌成分の含まれた軟膏及び点耳薬を使用します。
予防はとにかく耳をいじらないことです。
いじればいじるほど痒くなるということを覚えておいてください。

耳だれが出る

代表的な病気として急性中耳炎・慢性中耳炎・外耳道炎があります。
耳だれが出る原因としては細菌が関係していることが多く、抗生剤入り点耳薬や抗生剤の内服にて改善します。耳洗浄も菌の量を減少させることができ、非常に効果的です。

耳が痛い

代表的な病気として、(1)急性外耳炎 (2)急性中耳炎があります。

(1)急性外耳炎

急性外耳炎というのは外耳道、つまり耳の穴の入り口部分から鼓膜までの通路にあたる部分の耳の皮膚に炎症を起こして耳が痛くなる病気です。例えば耳のいじりすぎ、それから耳垢をためたまま水泳などをして中で雑菌が繁殖することなどが原因となります。

治療

点耳薬・軟膏などの外用薬にて治療します。
重症の場合は、連日耳内を洗浄し抗生剤の内服を使用します。

(2)急性中耳炎

中耳という鼓膜の奥にある空間におこる急性の炎症です。発症は0歳から5歳までのお子さんに多く、特に集団生活をしてる保育園児によくみられます。原因は風邪の菌が耳管(鼻と耳をつなぐ管)から中耳腔に入り込んで起こります。原因となる細菌はインフルエンザ菌や肺炎球菌が多く、最近では抗生剤が効きにくい耐性肺炎球菌(PRSP)が増えています。

治療

治療は抗生剤の内服や点耳(耳に薬をたらす治療)、痛み止めの内服・座薬などで行います。
炎症が強く鼓膜が腫れているときは、鼓膜切開(鼓膜を切って膿を出す治療)を行います。膿が出れば痛みがおさまり、治りも早くなります。
耳の治療と同時に鼻やのどの治療も行います。

耳の聞こえが悪い

(1)突発性難聴 (2)慢性中耳炎 (3)滲出性中耳炎 (4)耳垢(みみあか)が代表としてあげられます。

(1)突発性難聴

突然聞こえが悪くなり、耳鳴がしてしまう病気です。時にめまいを伴う場合もあります。
原因は現在のところ不明であり治療はステロイドホルモン剤が主流です。
施設によっては高気圧酸素治療や星状神経節ブロックを併用しているところもあります。
早期に治療をしないと治らない場合がありますので、早めに治療を開始する必要があります。

(2)慢性中耳炎

急性中耳炎が長引いたり、外傷等により出来てしまった鼓膜の穴が残存したためにおこる中耳炎です。鼓膜の内側が常に外界にさらされているため、細菌が侵入して耳だれが出たり、難聴が進行する場合があります。
治療は手術(鼓膜形成術・鼓室形成術)です。

(3)滲出性中耳炎

就学前のお子さんによく見られる中耳腔に滲出液がたまる中耳炎です。痛みはありませんが、聞こえが悪くなります。原因は耳管(鼻と耳をつなぐ管)の働きが悪いもしくは耳管が閉塞して起こります。耳管の機能が悪くなると中耳腔の換気が悪くなり、中耳粘膜が浮腫を起こして滲出液が貯留します。このため外からの音がうまく伝わらなくなります。原因としては副鼻腔炎(蓄膿症)・アレルギー性鼻炎・アデノイドが挙げられます。治療はまず鼻の治療(内服・ネブライザー治療)です。
その他通気治療(鼻から耳へ空気を送る)を併用する場合があります。
3カ月間以上このような治療を行っても効果がない場合は、鼓膜切開を行い鼓膜の奥に貯まった貯留液を除去します。鼓膜切開をしても貯留液が繰り返したまる場合や、貯留液が粘稠(ねばねば)で、鼓膜が強く陥凹するような場合は、鼓膜切開をしたあとに小さなチューブを鼓膜に入れます(鼓室チューブ留置)。
滲出性中耳炎を放置すると難聴になるばかりか、真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎といった難治性の手術を必要とする中耳炎に移行しやすいので注意しましょう。

(4)耳垢

読んで字のごとく、みみあかです。
耳垢が耳栓のように詰まってしまうと聞こえが悪くなります。
除去すればすぐ聞こえは改善します。

睡眠時無呼吸症候群・いびき

睡眠時無呼吸症候群のことをSleep Apnea Syndrom(SAS)といいます。SASとは、一晩に10秒以上の無呼吸(呼吸が止まっている状態)が30回以上、または1時間に5回以上の無呼吸が起こることをいいます。

原因

SASの主な原因は、上気道の閉塞です。つまり、空気の通り道である上気道(軟口蓋、舌、扁桃腺)が塞がって呼吸ができなくなるために起こります。

症状

SASの症状には、(1)睡眠中の呼吸停止(2)大きないびき(3)途中覚醒(4)熟睡感がない(5)日中の強い眠気(6)集中力の低下などがあります。また、SASは高血圧・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの様々な生活習慣病を合併し、交通事故の確率も高いといわれています。

診断

SASは睡眠中に起こり、本人が自覚することは少ない為、診断には睡眠検査が必要です。睡眠検査には、自宅で行える簡易睡眠検査と入院下で行う精密睡眠ポリグラフ検査(Polysomography:PSG)があります。

簡易睡眠検査

携帯型機器(アプロモニター)を用いて、

  • 1、口鼻の呼吸
  • 2、気管の音
  • 3、動脈血中の酸素飽和度
  • 4、脈拍

携帯用機器で操作が簡単であるため、自宅で検査ができます。

治療

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は、上気道の閉塞を改善させることにあります。その代表的な治療法として、睡眠時にマスク型の器具を装着する経鼻的持続陽圧呼吸療法(nCPAP)、そして手術としては鼻閉改善手術、口蓋扁桃摘出術、咽頭形成術などがあります。

メニエール病

メニエール病は内耳の病気で、繰り返すめまいに難聴や耳鳴りを伴うものです。一般に、片側の内耳の障害ですが時には両側とも障害されることもあります。病態は内耳のむくみにより内耳障害をきたすと考えられています。先進国に生活する人に多く、ストレスがこの病気の発症に関係しているといわれています。

治療

内服薬による治療が主体です。
抗めまい薬や内リンパ水腫を軽減する利尿剤が使用されます。
生活指導として有酸素運動や水分の十分な摂取・ストレスと避ける等が挙げられます。
薬でめまい発作の回数を減らしたり、軽くしたりすることはできますが、難聴の進行は薬では防げないことがあります。めまいがあまりにも頻繁に起こって仕事ができないような時や難聴の進行が早い時には手術が行われることもあります。

前庭神経炎

耳が原因となるめまいの中で最も治癒が長引くめまい症です。
片側内耳の前庭器官が急激に障害され、突発的にめまいが起こります。原因は不明ですが、感冒が前駆症状となるケースがあり、ウイルスなどの感染が原因として考えられています。めまい症状は1週間程度続きます。めまいには、吐き気や嘔吐、冷や汗を伴いますが、難聴や耳鳴りなどの聴覚の症状を伴わないのが特徴です。
めまいは少しずつ軽くなっていきますが、発症から1週間程度は歩行に困難を感じます。めまいは発症から3週間くらいでほぼおさまりますが、体を動かした時や歩く時のふらつきはしばらくは持続するのが一般的です。時には6カ月くらいたってもふらつきが持続することがあります。

治療

安静と薬による治療が主体になります。
早期に治療すれば一度障害を受けた前庭機能が回復することがあり、このような時には比較的早くめまいが軽くなります。しかし、早期の治療にもかかわらず症状がだらだらと長引くことがあります。このような時は、その状態に早く慣れるためにもめまいに対するリハビリテーションが必要です。

良性発作性頭位めまい症

寝返りをうったり、寝ていて急に上半身を起こしたりと急に頭を動かした途端、回転性の激しいめまいがおこる病気です。耳が原因となるめまいの中で最も頻度の高いめまいです。

治療

良性といわれるように、一般には比較的早いうちにめまいはなくなりますが、嘔吐などの消化器症状が強い激しいめまいの状態の時は安静が第一ですが、症状が安定してきたら積極的に頭を動かす運動(リハビリ)を行ったほうが治癒が早まります。
最近では耳石置換法と呼ばれる、遊離した耳石を元に戻す方法が報告され良好な成績を上げています。

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